タッパーに入れられたビリヤニが
二人の男を外の世界に連れ出した

ダウン症のある青年アハーンは、愛情深い両親と共にインドの大都市ムンバイに暮らしている。何不自由のない日々を過ごすアハーンであったが、周囲の目を気にする両親の「配慮」によって家に縛り付けられた彼は「自立したい」「仕事を見つけたい」「素敵な女性と結婚したい」という切実な思いを募らせていた。一方、気むずかし屋の中年オジーは、マイルールの押しつけと潔癖な性格が過ぎて妻のアヌに見限られ、一人家に取り残されていた。そんな折、アヌと親交があるアハーンはオジーの家を訪れる。オジーは妻の手料理にありつくためにアハーンを利用することを思いつき、自由な外出を願うアハーンとの間の奇妙な協力関係が始まることとなるのだが……。

アブリ・ママジ(アハーン)

ムンバイの特別支援施設を見学に訪れた監督ニキル・ペールワーニーと出会い、俳優の夢を訴える。念願叶って、本作で俳優デビュー。インタビューで印象的だった言葉「ニキル(監督)はいい人、でももう終わったこと」は、アハーンの今を生きるキャラクターとどこか通ずる。本作出演前は、カフェで週5日働いていたが、演じることに目覚めた今、カフェ勤務は週1日になり母親のサキナさんをやきもきさせている。

アリフ・ザカーリア(オジー)

もう一人の主役、強迫性障害で気むずかし屋オジーを演じる。テレビから映画、舞台(ミュージカル)まで幅広く活躍し、ミュージカル「ボリウッドの商人」のワールドツアーに参加。映画Darmiyaan、Hero、Asambhav、Dance Like a Man、そして物議を呼んだ問題作Nanak Shah Fakir でも主演を務めた。日本では『WAR ウォー!!』のビシュワース博士として覚えている人も多い(らしい)。

ニハリカ・シン(アヌ)
アハーンの良き理解者でオジーの妻アヌを演じたニハリカ・シンは、ミス・アース・インディアに2005年に選ばれキャリアをスタートさせたが、出演作品が非公開となるなど不遇の時を過ごす。2012年に公開されカンヌの「ある視点」賞の候補作となったMissLovely に準主演として出演し頭角を現す。近年は監督・プロデューサーとして活躍。

プラビタ・ボールタークル(オネラ)
アハーンの意中の人オネラ(ヴァニラ)を演じたのはプラビタ・ボルタクール。音楽活動も行い、作中のアハーンのテーマソングを歌う。

シルパー・メヘター(ガヤトリ)
息子(アハーン)の希望を叶えたい、外出のあと押しもしたいと願うものの、夫の意向に異を唱えられない母を演じる。著明大作『家族の四季 愛すれど遠く離れて』(2001)にも出演。

カイザード・コートワール(ランジット)
アハーンとの距離感が掴めずにいる父を演じ、作品にリアリティを与えている。プロデューサー、映画監督、デザイナーとマルチに活躍。オハイオ州立大学で教鞭を執り、舞台・メディアスタディ・映画の授業を受け持った。本作の役柄とは裏腹に、女性のエンパワーメント運動にも長くかかわってきた。

ハレーシュ・ラーウト(ハリ)
ちょっぴりお調子者の使用人かつアハーンのケアテイカー役のハリを演じた。作中でもアハーンの良き理解者だが、撮影期間中に、アハーン役のアブリが最も親しくなったのもラーウトだったとか(アブリの母談)。

ラジト・カプール(精神科医・シッピ)
親オジーの強迫性障がいに暴露療法を施す精神科医。この役を演じたカプールは、映画と舞台でコメディーからドラマまで幅広く活躍。
The Making of the Mahatma でNational Film Awards of India(ナショナル・フィルム・アワード)主演男優賞を受賞。


生活の医療株式会社は、ほぼ一人出版社のまま今年で設立10年になった。定期刊行物があるでなし、もともとスローペース版元の名を擅にしていたが、このところ輪を掛けて出版ペースが落ちている。でも安心して欲しい、これは〈耳タコ〉の出版不況の話ではない。

実は、昨年から『アハーン』(原題:Ahaan)というインド映画の配給に奔走している。こんな作品だ……。[続きは、版元ドットコム(版元日誌)へ。]

2024年にクラウドファンディングを実施・達成、劇場公開へのご支援いただきました。ありがとうございました。

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小さな出版社、インド映画『アハーン』に心打たれ、配給に踏み切る。(外部サイト:motion-gallery)

後援:公益財団法人日本ダウン症協会